出産や育児中に手首の動きや負担が増え、親指のつけねの腱鞘（筋肉の一部が通るトンネルのようなもの）が炎症を起こすことがあります。

手首には手根管という、腱や神経が通る狭いトンネルのような構造があります。手根管症候群は、妊娠期の体内の体液量の増加、ホルモンの変化、大きく、重くなったお腹を支えるための負担などにより、手根管のなかで神経が圧迫されて、手首のまわりにしびれや痛みを起こします。

出産後の手首の痛みは妊娠〜出産、育児などでのからだへの負担、ホルモンの変化などが挙げられます。

• 身体的負担：妊娠中、からだを支える筋力が弱くなり、立ち上がる時に手をつくことが多くなります。また、体重も増えるため手首に負担がかかります。そして、産後には抱っこなどで手首を使いすぎ痛みが出やすくなります。
• ホルモンの変化：妊娠〜出産にかけて、関節を緩ませるホルモンが分泌されるため、手首の関節にも負担がかかります。

骨盤の役割の一つに体重を支えるという役割があります。妊娠、分娩をへて骨盤は拡がり、また、腹筋なども弱くなることもあり、体重を支える力が弱くなってしまい、立ち上がったり、物を持ち上げる時に、その分の負担が手首にかかるようになります。これも産後に手首が痛くなる要因になります。

• 痛み：手首周辺での痛みや不快感があり、動かすと痛みが増すことがあります。
• 腫れ：腱鞘炎の場合、親指のつけね周辺に腫れがみられることがあります。
• しびれ：手根管症候群では神経が圧迫され、指のしびれや痛みを引き起こすことがあります。
• 筋力の低下：手首や親指の力が低下し、物を持ったり、捻ったりすることが難しくなることがあります。